スミスチャート
 アンテナを自作する場合、アンテナ自体のインピーダンスは測定器があれば簡単に測定できますが、送信機のインピーダンスに整合させるには整合回路を机上で検討が必要になります。
 カットアンドトライで整合器を作り直したり、何度もパーツ屋に足を運んだりすることなく、短時間で安価に製作することが出来ます。
 この机上での検討は色々な方法がありますが、当局はスミスチャートを利用しています。
 パソコンのソフトで計算させれば正確な値が出るのでしょうが、製作後にコンデンサやコイルの調整を行うので、スミスチャートで大体の数値が分かればよいと思っています。
 慣れると結構便利で、短時間で整合回路の設計が出来ます。
 この便利なチャートの使い方の一部(主に短波帯の整合器の設計)を紹介したいと思います。

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1.インピーダンスチャート

 下の図がインピーダンスチャートです。
 インピーダンスをR±jXと表記しますが、図の横軸がRパート(レジスタンス)で、横軸の右側から放射状の曲線がjパート(リアクタンス)を表します。
 横軸の上側が+j(誘導性リアクタンス)、下側が−j(容量性リアクタンス)を表します。
 表の中心(横軸の1.0)が基準となりますが、リグ(トランシーバー)のインピーダンスは通常50[Ω]なので、この1.0が50[Ω]となります。
 (チャートをクリックすると拡大します。)

 下の図はインピーダンスチャートの中心付近を拡大したものです。

 青色の点はインピーダンスZ=30+j15[Ω]の座標です。
 Rパートとjパートの数値を、基準となるインピーダンスで割った値が座標となります。
 この場合は基準が50[Ω]なのでRパートの30を基準の50で割ると0.6、jパートの15を基準の50で割ると0.3と、それぞれの座標が求まります。
 横軸がRパートなので、この軸の0.6とjパートのプラス側(横軸の上側)の0.3の交点が、そのインピーダンスの座標となります。

 緑色の点はインピーダンスZ=70−j20[Ω]の座標です。
 Rパートの座標は70÷50=1.4、jパートの座標は20÷50=0.4となるので、横軸の1.4とマイナス側(横軸の下側)の0.4の交点が、そのインピーダンスの座標となります。

 以上でインピーダンスチャートに任意のインピーダンスを落とし込むことが出来ます。

 つぎに、それぞれのインピーダンスのSWRをこの図から求めたいと思います。
 基準点(1.0)を中心として、それぞれの座標を半径とした円を描きます。
 この円と横軸との交点(基準点の右側)がSWRです。
 青色のZ=30+j15[Ω]はSWR≒1.9、緑色のZ=70−j20[Ω]はSWR≒1.6と求まります。

 下の図はあるインピーダンスにコイルLまたはコンデンサCを直列に接続した場合のインピータンスの座標の変化を表しています。
 コイルLを直列に接続すると青色の矢印のとおりに、Rパート一定でリアクタンス分が増える方向へ変化します。
 また、コンデンサCを直列に接続すると緑色の矢印のとおりに、Rパート一定でリアクタンス分が減少する方向へ変化します。

 例えば、10[MHz]のアンテナのインピーダンスZ=50+j20をZ0=50[Ω]に整合させるにはリアクタンス0.4のコンデンサを直列に接続すればよいことになります。
 0.4のリアクタンスは、基準が50[Ω]なので0.4に50を掛けると(0.4×50=)20[Ω]となります。
 リアクタンス20[Ω]のコンデンサの容量Cは
  C=1/(2πfXc)
     f:周波数
    Xc:容量性リアクタンス
 よってC=1/(2π×10×10^6×20)≒796[pF]となりますので、796[pF]のコンデンサを直列に接続することにより整合が取れます。

2.アドミタンスチャート

 アドミタンスチャートは手元にないのでインピーダンスチャートを裏返して使うことで代用しています。
 アドミタンスはインピーダンスの逆数なので(0は∞、1は1、∞は0)下の図が代用品です。
 (チャートをクリックすると拡大します)

 下の図はLCを並列に接続した場合の座標の変化です。
 コイルLを並列に接続すると青い矢印の方向へインピーダンスが移動します。
 コンデンサCを並列に接続すると緑の矢印の方向へインピーダンスが移動します。

3.イミタンスチャート

 整合器の回路はLCを直並列に接続するので、インピーダンスチャートにアドミタンスチャートを重ね合わせたイミタンスチャートを使用します。
 それが下のチャートです。
 黒い線がインピーダンスで、赤い線がアドミタンスです。
 (チャートをクリックすると拡大します。)

 下の図は7[MHz]のアンテナのインピーダンスZa=25−j5[Ω]をZ0=50[Ω]に整合させる例です。
 青い点Zaがアンテナ基部のインピーダンスです。
 整合させるには何通りもの方法(回路)がありますが、今回は下記を例とさせていただきます。

 まず、インピーダンスを25+j25まで変化させます。(緑の点Zb)
 緑の矢印の方向へインピーダンスを変化させるので、コイルのリアクタンスを25−(−5)=30[Ω]接続すればよいことになります。
 このコイルのインダクタンスLは
  L=XL/(2πf)
    XL:誘導性リアクタンス
     f:周波数
 よってL=30/(2π×7×10^6)≒0.68[μH]となりますので、0.68[μH]のコイルを直列に接続することによりZaからZbへインピーダンスを変化させることが出来ます。

 次にZbをZ0に整合を取ります。
 このZbの座標をインピーダンスチャートを裏返したものからjパートの座標を読み取ると1.0となっているので、並列にコンデンサ50[Ω]接続すると赤い矢印の通りにインピーダンスが変化して整合が取れるようになります。
 コンデンサのリアクタンス50[Ω]のキャパシタンスC=1/(2π×7×10^6×50)≒455[pF]となります。

上のチャートを回路図にすると下記の通りになります。

 リアクタンスをインダクタンスやキャパシタンスにする計算と、コイルを自作する時の寸法などの計算を、エクセルで出来る簡単なシートを作成しましたのでご利用下さい。