1.インピーダンスチャート
下の図がインピーダンスチャートです。
インピーダンスをR±jXと表記しますが、図の横軸がRパート(レジスタンス)で、横軸の右側から放射状の曲線がjパート(リアクタンス)を表します。
横軸の上側が+j(誘導性リアクタンス)、下側が−j(容量性リアクタンス)を表します。
表の中心(横軸の1.0)が基準となりますが、リグ(トランシーバー)のインピーダンスは通常50[Ω]なので、この1.0が50[Ω]となります。
(チャートをクリックすると拡大します。)
下の図はインピーダンスチャートの中心付近を拡大したものです。
青色の点はインピーダンスZ=30+j15[Ω]の座標です。
Rパートとjパートの数値を、基準となるインピーダンスで割った値が座標となります。
この場合は基準が50[Ω]なのでRパートの30を基準の50で割ると0.6、jパートの15を基準の50で割ると0.3と、それぞれの座標が求まります。
横軸がRパートなので、この軸の0.6とjパートのプラス側(横軸の上側)の0.3の交点が、そのインピーダンスの座標となります。
緑色の点はインピーダンスZ=70−j20[Ω]の座標です。
Rパートの座標は70÷50=1.4、jパートの座標は20÷50=0.4となるので、横軸の1.4とマイナス側(横軸の下側)の0.4の交点が、そのインピーダンスの座標となります。
以上でインピーダンスチャートに任意のインピーダンスを落とし込むことが出来ます。
つぎに、それぞれのインピーダンスのSWRをこの図から求めたいと思います。
基準点(1.0)を中心として、それぞれの座標を半径とした円を描きます。
この円と横軸との交点(基準点の右側)がSWRです。
青色のZ=30+j15[Ω]はSWR≒1.9、緑色のZ=70−j20[Ω]はSWR≒1.6と求まります。
下の図はあるインピーダンスにコイルLまたはコンデンサCを直列に接続した場合のインピータンスの座標の変化を表しています。
コイルLを直列に接続すると青色の矢印のとおりに、Rパート一定でリアクタンス分が増える方向へ変化します。
また、コンデンサCを直列に接続すると緑色の矢印のとおりに、Rパート一定でリアクタンス分が減少する方向へ変化します。
例えば、10[MHz]のアンテナのインピーダンスZ=50+j20をZ0=50[Ω]に整合させるにはリアクタンス0.4のコンデンサを直列に接続すればよいことになります。
0.4のリアクタンスは、基準が50[Ω]なので0.4に50を掛けると(0.4×50=)20[Ω]となります。
リアクタンス20[Ω]のコンデンサの容量Cは
C=1/(2πfXc)
f:周波数
Xc:容量性リアクタンス
よってC=1/(2π×10×10^6×20)≒796[pF]となりますので、796[pF]のコンデンサを直列に接続することにより整合が取れます。
2.アドミタンスチャート
アドミタンスチャートは手元にないのでインピーダンスチャートを裏返して使うことで代用しています。
アドミタンスはインピーダンスの逆数なので(0は∞、1は1、∞は0)下の図が代用品です。
(チャートをクリックすると拡大します)
下の図はLCを並列に接続した場合の座標の変化です。
コイルLを並列に接続すると青い矢印の方向へインピーダンスが移動します。
コンデンサCを並列に接続すると緑の矢印の方向へインピーダンスが移動します。
3.イミタンスチャート
整合器の回路はLCを直並列に接続するので、インピーダンスチャートにアドミタンスチャートを重ね合わせたイミタンスチャートを使用します。
それが下のチャートです。
黒い線がインピーダンスで、赤い線がアドミタンスです。
(チャートをクリックすると拡大します。)
上のチャートを回路図にすると下記の通りになります。
リアクタンスをインダクタンスやキャパシタンスにする計算と、コイルを自作する時の寸法などの計算を、エクセルで出来る簡単なシートを作成しましたのでご利用下さい。